ぐんまコミュニティー・ハイスクールについて

<地域に親しまれる高校を目指した、「ふれあいと信頼」の学校づくり>
 群馬県教育委員会では、地域に親しまれる高校づくりを推進するため、「高等学校の地域拠点化等に関する研究(「ぐんまコミュニティー・ハイスクール」)」事業を実施し、高校が学校の人的資源や施設を有効に活用し、地域の文化・スポーツの交流拠点等としての役割を担うための研究に取り組んでいます。
 下仁田高校は、富岡・甘楽地区県立高等学校再編整備計画に基づき、平成27年度に第2号指定校となりました。

下仁田高校の取り組み
 下仁田高校では、地域に根ざした教育の充実・発展を図るため、「地域から信頼される高校教育に関する研究」、「地域の教育力を生かした高校教育の推進に関する研究」及び「学校施設の地域開放と教育力の地域への発信に関する研究」に取り組んでいます。
【研究テーマ】
(1)地域から信頼される高校教育に関する研究
  ア 規律ある充実した高校生活を過ごすための工夫
    きめ細かな生徒指導の充実、ステップアップサポート事業の推進(学び直し、学び合い、少人数授業の実施)、
    個に応じた進路指導の充実、資格取得の推進、各種コンクールへの参加、部活動の活性化
  イ 地域への貢献、地域との交流
    通学路や駅等の清掃活動、地域ボランティア、農作業体験等の推進
(2)地域の教育力を生かした高校教育の推進に関する研究
  ア 地域の教育機関等との連携
    地域学習(神津牧場、荒船風穴、下仁田ジオパーク)、下仁田町発見ウォークラリー等の実施による地域理解の推進
  イ 地域と連携したキャリア教育の推進
    地域職業人インタビューの実施、地域の行政機関や産業界等と連携したインターンシップの実施
(3)学校施設の地域への開放と教育力の地域への発信に関する研究

  ア 学校施設の地域への開放
    地域の文化・スポーツ施設として、図書館、トレーニング室等の一般開放
  イ 教育力の地域への発信
    委員会活動及び部活動等における地元小中学校との交流


    
    
事業報告
荒船風穴ボランティア・ガイド2017

荒船風穴とは

 富岡製糸場はたいへん有名ですが、絹産業遺産群の内容についてはあまり知られていないのではないでしょうか。高山社跡(藤岡市)、田島弥平旧宅(伊勢崎市)、そして下仁田町の荒船風穴も世界文化遺産の一部です。荒船風穴は、明治38年、地元の養蚕農家の庭屋静太郎により建設された蚕種貯蔵施設です。

 製糸技術が発展して生糸が大量に作られるようになると、繭が大量に必要になりました。養蚕はそれまで気候に合わせて年一回しかできませんでしたが、年間を通して涼しく、温度変化の少ない山間の風穴を利用することによって、蚕の卵を貯蔵し、卵がかえる時期をずらすことにより、養蚕の回数を増やすことができるようになりました。荒船風穴は日本で一番大きな蚕の卵を貯蔵する風穴で、日本の各地の養蚕の回数を増やし、繭を大量に作ることに大きく貢献しました。現在でも大きな石垣が残り、夏でも冷たい風が吹き出しています。荒船風穴は、蚕の飼い方や蚕の卵の貯え方を工夫して新しい技術を生み出した所です。田島弥平旧宅、高山社跡とともに「絹産業遺産群」と呼んでいます。 

 「富岡製糸場」と「絹産業遺産群」は協力して、よい繭を作り、そこからよい生糸をたくさん作る技術を生み出しました。その結果、日本は1909(明治42)年世界一の生糸輸出国になったのです。
   


◆平成29年7月31日(月)〔第一日目〕

 徒会役員を中心とした10名の生徒が、荒船風穴で第1回目のボランティア・ガイドの研修と活動を行いました。
 まずはじめに、下仁田町歴史館で館長の秋池さんの講義を受けた後、実際に荒船風穴に行き、現地のボランティア・ガイドの方々の説明する様子を拝見させていただきました。
 夏休みとあってか、家族連れのお客さんもおり、新しく得た知識をさっそく観光客の方々に聞いていただく場面もありました。
 残り4回のボランティア・ガイドの活動がありますが、回を重ねるごとに自分たちの言葉で荒船風穴の魅力を伝えられるようにしたいと思いました。
  


◆平成29年8月2日(水)〔第二日目〕
 朝から晴天に恵まれました。荒船風穴の役割は、年1、2回であった養蚕飼育回数の多回数化を可能にし、繭増産に大きく貢献しました。100万リットルの天然冷蔵庫です。
 明治から大正にかけて1号風穴から3号風穴まで建造されました。当時は、輸送も含めて鉄道・郵便・電話・電信など最先端の技術も積極的に活用されていました。本日の案内は、自然と共生した貯蔵所、自然エネルギー利用の先駆的事例としても最評価されたこともふまえて案内しました。

  
  


◆平成29年8月3日(木)〔第三日目〕
 本日は、午前中から「にぎやか」です。今年度、採用された県内の小中学校の先生方(28名)が見学に訪れました(小・中学校初任者研修「自然・歴史・文化遺産研修」)。最初に先生方の前で紹介された時は少し緊張しましたが、いつものとおり、風穴の役割や歴史などについて案内をしました。朝から台風の影響もあってか少し霧が立ちこめていて幻想的でしたが、視界は少しよくなかったです。本来であれば夏の時期はタイミングがあえば風穴からの冷風と外気温の接触で大量の白雲が見られます。また、現地では貯蔵する「種紙」の実際は、用意したパネルでの説明となりましたが、先生方には大きさや様子などわかっていただけたと思います。また、機会があれば案内を差し上げたいと思いました。
  
  


◆平成29年8月10日(木)〔第四日目〕
 昨日の猛暑も収まり、今日は一週間ぶりのガイドでした。まず駐車場からの道に落ちているゴミ拾いから始めました。毎年お盆とその前後の時期はお客さんも多いということでしたが、本日は愛知県、長野県、埼玉県など県外から多くのお客さんがやってきました。さすがに4日目となると、ガイドも慣れたものです。お客さんとのコミュニケーションも上手に取れるようになってきました。お客さんは、みな風穴の冷気に驚いていました。とても充実したガイドを経験することができました。
 残すはあと1日、8月16日のみとなりました。最後まで、しっかりガイドしたいと思います。
  
  



◆平成29年8月16日(水)〔第五日目:最終日〕
 しとしとと小雨が降り、霧がかかって幻想的な雰囲気の中で、最終日のボランティア・ガイドを行いました。
 お盆休みも過ぎたせいか、観光客も2組ほどでした。お客さんを待っている間、下仁田町歴史館の秋池館長様が、山に咲く玉紫陽花(タマアジザイ)などの野生の花々の咲く場所へ案内してくださいました。普段目にしているアジサイとは違って目立ちませんが、可憐で清純さが感じられる花でした。

 ガイド役の生徒も2名しか参加できなかった最終日ですが、荒船風穴のことを学び、たくさんの方々に出会うことができ、自分たちの言葉で魅力を伝えることができた5日間でした。
 秋池先生をはじめ、歴史館の方々、現地のボランティア・ガイドの皆さん、たいへんありがとうございました。
   
  

◆平成29年8月30日(水)〔修了証授与〕
 2学期の始業式だった8月30日、校長室で校長先生より下仁田町歴史館長秋池様から授与された「荒船風穴ボランティア・ガイド修了証」をいただきました。とてもよい経験をすることができ、ガイドを担当した生徒たちの顔は充実感でいっぱいでした。